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ワイン|基礎

ワインの味の5つの軸

Structure of Wine|読了6分|更新:2026年11月3日

ワインの味は、酸・タンニン・甘味・アルコール・ボディの5つの軸に分けて説明できます。前の4つはワインに含まれる成分で、ボディはそれらが合わさった重さの感覚です。軸は「高い・低い」で語り、良し悪しでは語りません。

要点

早見表:5つの軸
軸正体高いときの表現低いときの表現
酸酒石酸・りんご酸・乳酸などシャープ、爽やかまろやか、ぼんやり
タンニン果皮・種・樽由来のポリフェノール力強い、骨太、収れん性しなやか、軽やか
甘味残糖甘口(スイート)辛口(ドライ)
アルコール糖の発酵でできるエタノール温かい、ボリューム軽い、すっきり
ボディ上の4つの総合フルボディライトボディ

1酸

酸は口の中を引き締め、みずみずしさを生む要素です。ワインの主な酸は、ぶどうに由来する酒石酸とりんご酸で、マロラクティック発酵を経ると、りんご酸の一部が穏やかな乳酸に変わります。

高いと「シャープ」「爽やか」、低いと「まろやか」「ぼんやり」と表現されます。酸は料理の脂を切る働きもします。冷涼な産地のワインほど酸が高くなります。

2タンニン

タンニンは、赤ワインの渋みと、口の中が乾くような収れん感のもとになるポリフェノールです。濃い紅茶を思い浮かべると分かりやすい感覚です。主に果皮と種から出るほか、熟成に使うオーク樽からも移ります。

赤ワインは果皮と種を果汁に漬けたまま発酵させるため、タンニンが多くなります。白ワインは発酵の前に搾って果汁だけにするため、タンニンはほとんどありません。高いと「力強い」「骨太」と表現され、赤身肉の脂やたんぱく質と結びついて渋みが和らぎます。

果皮ごと発酵中の赤ワインのもろみ
果皮を果汁に漬けたまま発酵させる赤ワインの仕込み。色とタンニンはここで果皮から出る。画像:Wikimedia Commons「Mthomebrew maceration.JPG」
グラスの赤ワインと白ワイン
赤ワインと白ワイン。色とタンニンは主に果皮から出る。画像:Wikimedia Commons「Red and white wine 12-2015.jpg」

3甘味

甘さは、発酵で酵母が糖を使い切らずに残した残糖の量で決まります。残糖がほとんどないものが辛口で、量が増えるにつれて中辛口、甘口になります。EUの表示規則では、残糖1リットルあたり4g以下(酸とのバランスによっては9g以下)が辛口です。

残糖がなくても、よく熟したぶどうの豊かな果実味は甘さのように感じられます。辛口なのに甘く感じるのはこのためで、甘味(残糖)と果実味は分けて考えると整理しやすくなります。

4アルコール

アルコールは、酵母がぶどうの糖を分解してできるエタノールです。ぶどうの糖が多いほど、発酵後のアルコールは高くなります。高いと喉の奥が温かく、飲みごたえが増します。

温暖な産地ではぶどうがよく熟して糖が上がるため、アルコールは高くなりやすく、冷涼な産地では控えめになります。高ければよいわけではなく、他の要素との釣り合いが崩れると、熱さだけが目立つワインになります。

5ボディ

ボディは、酸・タンニン・甘味・アルコールが合わさった総合的な重さの感覚です。水と牛乳の口当たりの差にたとえられ、軽いものをライトボディ、中間をミディアムボディ、重いものをフルボディと呼びます。色の濃さはボディの目安になることはありますが、5つの軸には含まれません。

6気候と年で軸が動く

5つの軸は固定値ではありません。同じ品種でも、産地の気候と、その年の天候で釣り合いが動きます。

軸冷涼な産地・年温暖な産地・年
酸高い中〜低
アルコール控えめ高い
果実味引き締まった熟した、豊か
ボディライト〜ミディアムフル寄り

気温が低いとぶどうの糖が上がりにくく、酸が多く残ります。糖が少なければ発酵後のアルコールも控えめになります。同じ銘柄で「今年は酸がきれい」という会話が成り立つのは、このためです。

7軸の使い方

軸は「高い・低い」で語り、良し悪しでは語りません。「タンニンが高い=上等」ではなく、軽い料理には低いタンニン、濃い煮込みには高いタンニンという適材適所です。5つの軸は、ワインを評価する物差しではなく、料理と合わせるための座標だと考えます。

手元のワインを、5つの軸それぞれ「高い・中・低い」の3段階でメモすると、自分の好みが言葉になります。

8よくある質問

タンニンが強いワインは高級?
いいえ。強弱は個性で、品質ではありません。タンニンの穏やかな高級ワインも多くあります。
辛口なのに甘く感じるのはなぜ?
残糖はなくても、熟した果実味が甘さのように感じられるためです。甘味と果実味は別のものです。
アルコールが高いほどよいワイン?
違います。飲みごたえは増しますが、釣り合いが崩れると熱さだけが目立ちます。
白ワインにタンニンはある?
ほとんどありません。白は発酵の前に搾って果皮と種を除くためです。樽熟成の白にはわずかに樽由来のタンニンがあります。
ボディとアルコールは同じ?
同じではありません。アルコールはボディを決める要素のひとつで、ボディは酸・タンニン・甘味・アルコールの総合です。

9参考文献

  1. Acids in wine(Wikipedia 英語版)
  2. Phenolic content in wine(Wikipedia 英語版)
  3. Sweetness of wine(Wikipedia 英語版)
  4. Wine tasting descriptors(Wikipedia 英語版)

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